大学を出てさえも思い通りの就職が叶わない世の中になってきました。まして、見た目にわかりにくい障害や困難を抱えている、ちょっと不器用な若者にとって、就労は一つの大きな壁です。いったん就労が叶っても、不適応を起こして引きこもりがちになってしまうこともあるようです。
「農楽(の〜ら)」は、せめて自分で食べものを産み出せるようになれば安心して先立てるのではないか、一人では難しくても仲間や指導者がいればできることがあるのではないかという親心から発想した「暮らしの学校」です。
目標は、この子たちが地域の担い手としてしぶとく生き抜けるようにしていくこと。
の〜らは、そのために本人が学び、成長する場であり、周囲や社会も変わっていくように働きかけていく主体でもあります。
農業の学校ではありませんが、自ら大地と格闘して食べものを産み出す経験は、将来より安定的な社会生活を送るための「基礎体力」となるはず。そのうえで、できることを積み重ね、地域の担い手として穏やかに生きていける土台を作っていきたいと考えています。
の〜らが対象としているのは、効率最優先の世の中で生きていくのが特に苦手な人たちですが、行きすぎた競争社会は他の多くの人にとっても生きにくい世の中であるはずです。あえて最短距離を目指さず、プロセスを楽しみながら、コウノトリや自然と「折り合いを付ける」生き方を実践している豊岡ならではの活動・発信を行い、すべての人が生きやすい社会づくりに貢献していきたいと考えます。
(代表 木村尚子)